前々回紹介した「地縄張り」を元に、縄より1m程度離して水杭(みずぐい)と呼ばれる木杭を打ち、縄を取り囲む形で巡らします。この水杭に打たれる木を水貫(みずぬき)と呼んでいますが、計測器で高さを正確に測定して一定の高さで水貫を取り付けます。水貫が取付けられると、そこに芯墨(柱・壁の中心)や基礎の高さなど、数々の重要な情報を書き込みます。対面する水貫の間を、芯墨に合わせて糸を張り渡し、この後に行われる地業工事・基礎工事の基準にします。この糸を水糸(みずいと)と呼びます。これら一連の仮設物が、遣り方(やりかた)です。土の上なのに、どうして水(みず)?ある時、はたと気付きました。そう、水面のように平らであるという「水平」ですね。建物は、水平が命です。遣り方次第で、建物の命が左右されます。すごく単純な方法ですが、合理的で、施工精度と作業性を上げる先人の知恵です。